QRコード決済やクレジットカードなどによるキャッシュレス決済を推進する施策を取っています。マイナンバーカードの普及とも紐づけてマイナポイントの発行をするなど、さまざまなアプローチでキャッシュレス決済比率の向上を目指していますが、QRコード・キャッシュレス決済による経済効果は大きいのでしょうか。ここではキャッシュレス決済比率の現状と浸透によってもたらされる経済効果がどのくらいなのかを解説します。
#キャッシュレス化率と経済効果の関係
世界的にはアメリカやヨーロッパの先進国ではクレジットカードによる支払いが昔から社会に浸透していました。しかし、日本では現金による支払いが主流で、クレジットカードや電子マネーの利用者が増えてからも決済の半分以上を現金が占めていました。QRコードが登場してもなかなかキャッシュレスに進まず、他国に比べて遅れを取っている状況が続いていました。日本政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%にする目標を立てて施策を進めています。これはキャッシュレス決済の浸透によって経済効果があると試算されているからです。
・キャッシュレス決済比率とは
キャッシュレス決済比率とは消費支出のうちで、キャッシュレス決済によって支払われている割合を指します。クレジットカードやQRコード決済、デビットカードやプリペイドカード、電子マネーなどによる支払いが占めている比率です。
・日本におけるキャッシュレス決済比率の現状
日本におけるキャッシュレス決済比率は政府の努力もあって上昇してきています。2008年の時点では12%だったキャッシュレス決済比率が2020年には約30%に到達しました。上昇率も向上してきているため、2025年の目標として掲げられている40%を達成できる可能性が高くなってきています。経済効果とキャッシュレス化に伴うコストの差額とキャッシュレス決済
・キャッシュレス化が進むと経済効果は上昇する
政府がキャッシュレス決済比率を上げる施策を推進しているのは経済効果があるからです。キャッシュレス化と経済効果に関するシミュレーションをした結果、両者に比例関係があることが示されています。現状のキャッシュレス決済化率の30%では700億円の経済効果があるのに対して、40%に向上させると4500億円になるというのがシミュレーション結果です。30%程度がキャッシュレス化によって経済効果がプラスになる境界線で、日本ではようやくキャッシュレスによるメリットが生まれるようになった状況にあります。
#キャッシュレス決済による経済効果
キャッシュレス化によってどのような変化があるのかが気になっている方もいるでしょう。ここではクレジットカードやQRコードなどの経済効果を具体的に紹介します。
・機械喪失の解消による消費の促進効果
キャッシュレス化によって消費の機械喪失の解消が起こります。現金が手元にないから買えない、別の機会に購入するといった判断をすることはしばしばあります。しかし、キャッシュレス決済なら手元に現金がなくても購入可能です。QRコード決済なら財布を忘れたときにでも購入できるので、消費者が買いたいと思ったときに買いやすくなり、消費行動が全体として促進されます。
・クレジットカードやQRコードなどの使用による支払いの発生
クレジットカードやQRコードなどの使用によって新しい支払いが発生するのも経済効果をもたらす要因です。クレジットカードやQRコードなどによる支払いを受け入れるには販売側がキャッシュレス決済に対応しなければなりません。決済代行サービスを利用したり、決済用の端末を導入して維持管理したりする費用が発生します。さらに決済手数料の支払いも発生するので経済が回りやすくなります。一方、消費者もクレジットカードの年会費やリボ払いや分割払いによる手数料がかかる場合があるため、キャッシュレス化による支払いが発生します。
・フィンテックなどのオンラインサービスの利用の推進効果
キャッシュレス決済によってオンラインサービスの利用が推進されることで経済効果が生まれます。フィンテックや保険サービス、ECによる商品購入などが活発になり、店舗で購入や契約をするのが面倒で手間がかかると思っていた人たちからの利用が促進されます。オンラインサービスの支払いには現金による銀行振込よりもキャッシュレス決済が便利だからです。
#まとめ
QRコードやクレジットカードなどによるキャッシュレス決済の浸透によって経済効果がもたらされることはシミュレーションによって示されています。30%程度のキャッシュレス決済化率がボーダーラインで、キャッシュレス化率が低いとネガティブな効果になってしまうのは問題点です。しかし、日本では既にこの水準に達していて、キャッシュレス化による経済効果がプラスに転じています。キャッシュレス決済に対応するサービスがさらに増えていくことでユーザーによる利用も増加し、さらに大きな経済効果が得られるようになっていきます。