音楽に助けられ、元気づけられ、共感することで音楽が好きになったという人はたくさんいると思います。そんな偉大なる音楽の力を経済効果として見たとき、私達の日常生活にどれだけの影響があるのでしょうか? この記事では音楽が我々にもたらしてきたプラスの経済効果と近年見られるマイナスの経済効果を紹介していきます。そして最後に今後私たちは音楽のプラスの経済効果を最大限に活かすためにできること、取り組むべきことについてまとめていきます。
1.音楽のプラスの経済効果
各種音楽デバイスの発展
レコードやカセットテープ、CDやMD、ウォークマンやIPOD、スマートフォン等、時代を追うごとに音楽はあらゆるデバイスに保存されて愛さてきました。各種デバイスをつくるために動員されたクリエイターたちや工場作業員、企業に対して経済は波及していきました。
異文化音楽の普及
音楽デバイスの普及に伴い、自国内だけでなく他国の音楽が一世を風靡するほどにヒットする場合もあります。諸説ありますが、音楽デバイスの登場初期はJPOPはまだまだ発展途上だったこともあり、ビートルズ等を中心とした海外アーティストの音楽が日本にも浸透しました。こうした異文化音楽のヒットが後々のJPOPシンガーのルーツになり、新しい日本の音楽が生まれることになります。
音楽フェスティバル・ライブ
一般的にフェスやライブの規模が大きく、観客が多ければ多いほど、音楽に直接つながっていない企業や労働者にもしっかりと波及していきました。レストランに飲み屋、ホテルの需要は高まり、ステージや機材を設置する地元の企業、当日運営に関わる警備会社やイベント会社が潤います。
こうしたことから、観光資源や強みに乏しい地方での開催にも効果が高く、何度も開催されることでその地域の知名度が全国で上がっていきます。こうしたチャンスを活かすことで地元の特産品等も注目の的となり購入機会が増えていくことでしょう。
茨城県ひたちなか市海浜公園で夏に開かれていたロッキンジャパンが77億円超、フジロックが151億超等、その波及効果は計り知れません。
BGMとしての音楽の普及
音楽を保存できる各種デバイスの発展でショッピングセンターやスポーツ等でBGMとして音楽を利用する人々が増え、作業の効率化・短縮化、客の親近感から商品の成約につながる事例もあり、目には見えにくい経済効果まで波及していることがわかります。
2.音楽のマイナスの経済効果
違法ダウンロードの横行による売上の低下
ネット環境が普及し、1人1台はPCやスマートフォンを持つのが当たり前になった現代では違法ダウンロードが横行し、きちんと対価を支払うことなく音楽を聴くことがやろうと思えば可能になってしましました。違法アップロードに対して罰則はあるものの、違法ダウンロードについては事実上罰則が存在しないため、厳罰化や抜本的な対策が進むまでは想像を絶するほどの音楽が経済に波及することなくダウンロードされていくことが考えられます。
定額音楽聴き放題サービスの普及による購入者の低下
一昔前であればレコードやCD、音楽ファイルを購入するのが当たり前であり、各種売上も好調さが見られていたが、現代では定額音楽聴き放題サービスの普及が推し進められ、音楽家や音楽会社に入る収益が激減してしまっています。それだけ今までの音楽の販売方法が経済効果でみた時にいかに大きかったのか、そして今後はこうした音楽業界の低収入化で新しい音楽が生まれなくなる悪循環に陥らないためにできる対策が求められるでしょう。
3.プラスの経済効果を最大にしながらマイナスの経済効果を抑えるにはどうすべきか
違法ダウンロードができない仕組みづくり
ネット環境が普及してしまっている以上、違法ダウンロードサイトの撲滅はキリがない面があるのも否めないですが、サイバーパトロールやダウンロードそのものの厳罰化、子どもたちへの教育等、新たな違法ダウンロードそのものをしない、させない仕組みづくりと意識改革が求められるでしょう。
ライブ活動、フェス中心の活動へのシフト
定額音楽聴き放題サービスの普及や動画サイトの普及による売上単価の低下は、時代的な大きな流れということもあり、今後抗うことができないことが伺えます。そうした中でもライブやフェスに通いお金を落とす層は一定数存在するため、今後音楽家や音楽会社はライブ活動、フェス中心の活動へのシフトしていくことで、売上を作ることができ、各地域もそれらの恩恵に預かることができるようになるのではないでしょうか。
消費者一人一人による客単価への貢献
お気に入りのアーティストのCDやグッズ等、できるだけ形あるものに対してしっかりとお金を払うことによって音楽業界が潤う特性は変わらないので、無理のない範囲でできる限り音楽に関する購買行動を起こしていくことが大切です。