経済効果は、様々な事業やイベントが、どの程度の範囲、どの程度の金額の影響を及ぼすかを計算したものです。例えば、企業の誘致によって発生する雇用の発生や、住居の確保、各種消費行動にどの程度の経済効果があるかを試算することや、税収増などを見込むといったことは頻繁に行われます。オリンピックなどの大型の国際イベントであればなおさらで、観光客の増加などを見込み、非常に広範囲にわたる経済効果に期待できることになります。ただし、昨今の国際情勢の急激な変化や、燃料費の高騰など、環境の変化で計算が狂うことも珍しくありません。経済効果はどの程度の範囲、例えば国全体として計算するのか、地方自治体などの単位で計算するのかでも大きな違いが出ます。規模が大きくなれば大きくなるほど、想定外のトラブルなどが起きやすくなるため、試算は試算として受け止める必要があります。重要なのは、様々な経済効果を計算するためのモデルがいくつも存在することです。どのモデルを使って経済効果を計算するかは、目的や規模によって異なります。また、試算がうまくいったのか、行かなかったのか、それとも想定外の効果を生んだのかなど、事例があるのもポイントです。特異なケースは特に研究のテーマとして扱われやすく、町ぐるみの取り組みで大きな経済効果を生み出したケースなどは特に注目を集めやすくなっています。人口流出が進み、過疎化が進んでいる地方は珍しくなく、経済効果と人口増を両立しているケースなどもあるためなおさらです。一方で、大規模な都市計画などに関しては、失敗事例なども研究テーマとして取り上げられやすくなります。試算の結果とことなり大きなマイナスが出たケースなどが典型例で、どのように見込みが外れたのか、何に原因があったのか特定をすることは新たに都市計画などを立てる際に多きなプラスになるからです。大規模な開発が失敗した事例なども多いからこそ、経済効果とそれに伴う人の動きには注視する必要があるのです。バブル期の大型リゾート開発の相次ぐ失敗などは典型例となっていて、経済効果の見込みや、採算性・集客性・成長性などが良く考慮されていなかったことが分かります。また、個別に起こった問題は異なり、地元住民の開発反対などで開発が長引き、想定外の損失を抱えたケースなどもあります。大きな開発であるほど地域住民などを含んだ丁寧な説明などが必要なことが分かるケースも多く、ただ経済効果だけを見て動く人ばかりではないことが良く分かります。住み慣れた環境などを大切にする文化なども存在するため、民間、行政を問わずに開発を行う側は様々な配慮を求められるのです。また、経済効果の考え方も変わりつつあります。SDGsなどに代表される、継続可能な開発目標の考え方が浸透しつつあるからです。日本は少子高齢化が進んでいて、人口は減少傾向にあります。この傾向に歯止めをかけるのは難しく、過去の開発モデルや経済効果の試算モデルが通用しない場合があるのです。そのため、時代は大型都市開発よりも、コンパクトシティを求める傾向が強くなっています。様々な施設をコンパクトにまとめ、身近な範囲で生活が完結するようになれば交通に関する負担は大きく軽減されます。ガソリンなどの化石燃料を輸入に頼る日本には大きな問題でもあり、オール電化を含めたスマートシティの研究などが進んでいるのも経済効果・持続性が検討された上です。生活の効率化を目指して研究費用などを使わなければ、無駄なコストが積み重なっていく可能性があり、ネガティブな意味での経済効果が発生する恐れがあるのです。省エネ化、IT化、コンパクトシティによる経済効果は重要な研究要素として取り入れられていて、多くの自治体や研究機関が取り組んでいる問題でもあります。また、新しい技術の開発にはコストもかかってしまうため、研究開発にかかる費用の試算と、それがもたらす経済効果の大きさをチェックし、予算が付くかどうかが決まるケースもあります。無駄な予算をかけたくない、お金をかけたくない企業や自治体が大半だからこそ、様々な物事を動かすために重要になるのが経済効果の試算という見方も出てきます。成功事例、失敗事例などを通じて、お金と人を動かすことの価値は上がっているのです。潤沢な予算がある場所が少ないからこそ、シビアな計算や、説得力のある試算モデルの作成、採用が重要です。ミニマムなモデルでいえば、家族単位の生活でも周囲に及ぼす経済効果などは存在します。大きな括りでは想像がしにくい場合は、自分が普段何にどれだけお金を使い、経済効果を与えているか考える方法もあります。コンビニに流通する商品を一つとっても、商品開発や流通、原料価格、人件費など様々なお金がかかっていることが分かるはずです。都市計画などはこれらの平均的なモデルや、よく似た規模、地域や環境の試算モデルなどが参考にされることが多く、身近で興味が持てそうなものから知っていくのも方法となっています。
