卒論で経済効果を述べるときには、一体何に注意すれば良いのでしょうか。気をつけなければいけないのは、卒論は感想文ではないということです。論文として意味を成すために、何をするべきなのか、説明していきます。
1.経済効果を出すだけでは意味がない
卒論というのは感想文ではありません。自分なりに仮説を提示し、それを証明していくのが論文になります。つまり、経済効果を計算し、「これがこの時点での経済効果」と述べるだけでは卒論にはならないのです。計算すれば誰でも算出できるような数字を提示しても、それでは卒論として認められません。
卒論というのは自分なりの仮説を提示する必要があります。例えば、何がそれだけの経済効果をもたらしたのか、その経済効果をもたらすに至った過程は何だったのか、あるいは逆に、それだけの経済的な損失を抑えるためには一体何をすれば良いのかなど、論じていく必要があります。
例えば、2020年にヒットしたアニメ「鬼滅の刃」は2700億円の経済効果を出したと言われています。劇場版の映画は今まで歴代トップだった「千と千尋の神隠し」を大きく上回り、1位になりました。しかし、「鬼滅の刃」には2700億円の経済効果があった」と述べるだけでは卒論にならないのです。なぜここまでの経済効果があったのか、その経済効果をもたらした社会的な風潮は何だったのか、企業はどのような取り組みをしていたのかなど、その経済効果が出るまでのきっかけなどを調べてこそ、卒論と言えるでしょう。
2.損失について調べても良い
経済効果というと、どうしても何かがヒットしたことにより、経済的な得があった場合の効果を表すように感じるかもしれません。しかし、損失も経済効果の1つですので、それについて調べても良いでしょう。
例えば、コロナウィルスによって様々なスポーツが無観客で行われるようになりましたが、それによってどのような経済的損失があったのか、それを調べるのも経済効果を調べるうちの1つです。東京オリンピックの開催に関しては賛否両論ありますが、無観客で東京オリンピックを開催した場合、実際はどの程度の経済効果があるのか、あるいはどの程度の経済的な損失があるのか、様々な調査がなされています。
ただし、経済的損失について調べ始めるとあまりにも幅が大きくなってしまうので、例えば医療における経済的効果、先週における経済的効果など、何かに絞る必要があります。ざっくりと「東京オリンピックの経済的効果」にしてしまうとあまりにも幅が大きくなりすぎてまとまらなくなってしまいますので、対象はきちんと絞りましょう。
3.その時点での一定額ではなく、幅で見る
経済効果を見るときには、ある一定の時点での経済効果ではなく、幅で見ることが大切です。例えば、「この日の経済効果」ではなく、「何月の経済効果」あるいは「何月から何月にかけての経済効果」というように、幅で見ていくことが大切です。
実際に私たちの生活の中でも、例えば「旅行でこれだけのお金を使いたいからそれに向けて少しずつ貯金する」「子供の学費にいくらかかるから、何年前からいくらずつ貯金していく」など、幅で考えていますよね。このように、経済効果を図るときには幅で考えていくことが大切です。
幅で見ることにより、どの程度の経済効果があるかわかったら、それの直前に何があったのか、なぜそこまでの経済効果があったのか、理由も明確になっていきます。一定額だけを見てしまうとその前後の流れがわからなくなりますので、幅で換算するようにしましょう。
4.インタビューを取り入れる
最新の経済効果などを調べるにあたって大変な問題は、書籍がないということです。経済に関する研究は多く行われていますが、経済は常に進化しているため、常に最新の情報があるとは限りません。そのため、書籍だけを扱っていては十分な資料が足りず、行き詰まってしまうことになりかねません。
卒論の資料を集めるときには書籍だけではなく、論文や新聞、雑誌などを使うこともできます。雑誌ならば最新の情報が月刊誌等に載せられていることもありますので、役に立つでしょう。しかし、それでもうまくいかないときにはインタビューを積極的に取り入れることも大切です。
経済効果の一端をになった企業の広報などにコンタクトをとれば、担当者がインタビューに答えてくれることもあります。このようなインタビュー記事は立派な第一次資料として認められますので、インタビューは積極的に導入していきましょう。また、複数の企業の担当者に聞いてみて比較するのも良い方法です。
卒論で経済効果を扱う時、どうしても「これだけの経済効果があった」として卒論を締めくくってしまう学生は少なくありません。しかし、卒論は自分の仮説を証明するための論文ですので、数字だけ提示して終わってしまっては卒論にならないのです。
自分はその卒論で何を明らかにしたいのか、何を証明したいのか、しっかりと考えておきましょう。その上で卒論を書き始める前に、本当に自分はそれを証明できるのか、様々な資料を読み込んで確認しておくことも大切な作業です。
