経済効果

ゆるキャラの経済効果ってどれくらいあるの?

ゆるキャラとはどんな存在?

ゆるいマスコットキャラクター、これがいわゆるゆるキャラの正式名称です。ゆるキャラはご当地アイドルやご当地グルメなどと並んで各種イベントや町おこし、その土地の名産品の紹介などのPRを目的にそれぞれの自治体などが作成したものです。2000年代の後半期にゆるキャラブームが始まりましたが、その発端となったのは国宝の彦根城築城400年祭のイメージキャラクターとして製作されたひこにゃんです。その親しみやすいキャラクターとキュートな見た目が全国的に知れ渡るところとなり、イベント終了後にも滋賀県彦根市のキャラクターとして不動の地位を築くこととなりました。このキャラクターの登用によって全国の地方自治体がご当地キャラやゆるキャラの経済効果に着目し、その可能性が注目されることになりました。

全国にご当地キャラクターゆるキャラが乱立する時代

そして2008年以降はゆるキャラを大々的にPRするイベントが全国各地で開催されるようになり、2011年に開催されたゆるキャラグランプリでグランプリを獲得した熊本県のくまモンによってブームはさらに過熱してゆくことになりました。そのほかにもゆるキャラグランプリの歴代受賞キャラクターには愛媛県今治市のバリイさんや栃木県佐野市のさのまる、奈良県のせんとくんのような他のゆるキャラとは異なるデザインで話題を呼んだキャラクターなど、その地域のPRだけではなく全国展開で高い人気を得るキャラクターが並んでいます。地域の活性化に頭を悩ませる自治体にとって、輝かしい実績を持つ知名度の高いゆるキャラは
憧れの存在となり、2010年代には全国で続々と膨大な数のゆるキャラが生まれることになりました。そしてゆるキャラグランプリはそうやって生まれたご当地キャラクターの目標の一つという華々しい位置づけになっていったのです。しかし、一世を風靡したゆるキャラグランプリも、その後不正投票疑惑が持ち上がるなど行き過ぎた競争による弊害が生まれて注目度が急激に低下し、2020年に最後の開催を迎えることになってしまいました。けれども、ゆるキャラグランプリを2020年に終了することはすでに2013年には決定していたともいわれており、不正投票などの影響でやむなく終了したというわけではないようです。

今も絶大な人気を誇るくまモンの例

ゆるキャラを語るうえで絶対に外せないのがグランプリを受賞したことをきっかけに全国的に知名度を上げ、今なお高い人気を誇っているくまモンの存在です。2011年以降関連商品の売上高は累計で8100億円を上回り、莫大な経済効果を生んだともいわれるモンスター級の人気を誇るゆるキャラです。くまモンを起用するためには熊本市に利用料を支払う必要はなく、熊本県では利用料ではなくてその経済効果によって収益を得ているところが特徴的です。しかも日本国内ばかりでなくくまモンの人気は海外でも高く、ご当地キャラクターの中でも別格の存在なことは確かです。くまモンが熊本へもたらした経済効果は信じられないくらい莫大なものですが、くまモンのように大成功して高い知名度を誇っているご当地キャラは決して多くはありません。自治体が少なくない予算をかけて作成したにもかかわらず、あまり注目されることなく忘れられてしまうもののほうがはるかに多いと言えます。
国体などの全国規模のイベントのためのPR用にゆるキャラを採用することも多く、イベント期間中はとにかくめいっぱいそのキャラクターを活用することに務め、イベントが終了してからは開催自治体のマスコットとしての位置にいわば昇格させて成功した例が千葉県のチーバ君です。イベント終了後のほうが千葉県のマスコットとして人気を伸ばし、知名度もぐんと上がって成功した例の一つと言えます。

ゆるキャラの経済効果への厳しい現実

どこの自治体でも運営には苦慮しており、何とか少しでも知名度を上げてくまモンのような経済効果を生み出す存在を作りたいと考えるのかもしれません。でも残念ながらゆるキャラブームが去りつつある今、ゆるキャラが乱立してその自治体の人以外は見たことも聞いたこともないようなわけのわからないマスコットキャラクターが登場すると、なんだか痛々しい感じがしてしまう人は少なくないのではないでしょうか。こんなものに大切な税金をかけるなら、もっと他にすることがあるだろう!という怒りの声さえ聞こえてきてしまう状況です。くまモンのような明確な経済効果がわかっているものは明らかに特別な存在で、現状では莫大な経済効果はおろかゆるキャラのための予算を上回る効果があったのかどうかさえ不明なものも少なくないことでしょう。魅力的なご当地キャラを生み出して、そのキャラクターに会いにその土地へと旅してみたいと思う人が増えれば確かに観光収入は上がって経済効果が高まりますが、現状ではリスクを考えつつどんな戦略を選択することが自分たちにとって最善なのか知恵を絞らなければ、納税者からはただの無駄遣いとみなされてしまいます。

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