いつの時代でも子供の記憶の中に楽しい思い出を残してくるのは、アニメ作品と言ってもいいでしょう。幼稚園に通っている頃から小学生の時に見ていたアニメが、大人になっても懐かしい記憶として残っているからです。
そうかと思うと、作品によっては子供だけでなく大人の心を掴んで離さないアニメだってあります。大人の中にはいわゆるアニメヲタクと呼ばれている人もいます。そのように考えるとアニメは小さな子供から大人まで楽しむ最大の娯楽と言っても過言ではありません。
その一方で、ビジネスの観点で見ると、これは大きな経済効果を生み出す1つの事業と言ってもいいでしょう。その理由はアニメ映画だけでも数億円から数十億円レベルのビッグビジネスになるだけでなく、それ以上の利益をもたらしてくれるからです。
そこで、ここではアニメがどれほどの経済効果なのかについて考察していくことにします。
1.エヴァンゲリオンの効果
昨今のアニメ作品で注目を集めているのは、”エヴァンゲリオン”でしょう。
通常”エヴァ”で親しまれてきたこのアニメ作品は、1995年~1996年に「新世紀エヴァンゲリオン」という名前でTV東京系列で放映されました。
難解なストーリーで最終話も精神世界に終始した終わり方で、ファンに不完全燃焼のまま終わってしまいます。しかし、その難しい世界観のせいで、さまざまな考察本が出版されて、数年後に映画化されました。
ここで一旦、完結したかと思われたのですが、2007年にリメイク版として映画化。
「ヱヴァンゲリオン序」「ヱヴァンゲリオン破」「ヱヴァンゲリオンQ」「シン・エヴァンゲリオン」として、2021年にやっと完結を見ました。
2000年代以降の映画の興行収入を視ると、それだけで序:20億円、破:40億円、Q:52.6億もの収入を生み出していったのです。しかも、シン・エヴァンゲリオンは、2021年5月時点で80億円を突破。100億円を越すのではないかとも言われるほどです。
ビジネス的には、興行収入だけをみても数十億円レベルの商売であり、大きな事業と理解することができます。
これが1995年の放送開始から2021年の完結編まで約25年以上続いたアニメ作品なのですが、この間アニメの直接的な収入だけでなく、間接的な事業を含めると、さらに大きな経済効果をもたらしているのです。
映画は公開される度にCDやフィギュア、コミックスなどの売り上げがあり、トータル的に200億円規模の経済効果があったと言われています。
2.鬼滅の刃
エヴァンゲリオンを上回るほどの経済効果を生み出したアニメとしては、何と言っても”鬼滅の刃”が代表的な作品です。
元々は少年ジャンプで連載されていた漫画でしたが、アニメ化されて地上波で放送された後に映画化。空前の大ヒットとなったのは、言うまでもありません。
日本中の中で知らない人はいないというくらいにメジャーなアニメですが、コミックスや関連書籍の売り上げだけでも900億円近い販売実績を叩きだし、映画関連の工業入集を見ると、500億円規模。
これに加えて、グッズや企業コラボ商品で1000億円を越えるビジネスになっているのです。合計2000億円を超える経済効果を生み出しています。
この効果は上場企業の中でもかなり大きな販売規模です。
それだけに”鬼滅の刃”は、ビジネス業界に大きなインパクトを与えたわけです。
3.アニメの経済規模は数百億円から数千億円の効果?
”エヴァ”や”鬼滅”だけ見ても、2000億円~3000億円のビジネスに繋がっています。
これは映画の興行収入だけでなく、書籍、音楽メディア、フィギュア、プラモデルやコラボ製品などまで広範囲に及ぶ商売は作り出されるからです。
かつては伝説的なアニメ作品として”宇宙戦艦ヤマト”があり、大きな売り上げを創出したことでも知られていますが、その中で40年以上も続くシリーズ作品があります。
”機動戦士ガンダム”です。
ガンダムシリーズは、物語上、継続性のあるストーリー作品もあれば、”ガンダム”を冠した独立系ストーリー作品もあります。
ある意味”ガンダムブランド”と言ってもいいアニメ作品ですが、第1作目の”機動戦士ガンダム”だけでも、映画、プラモデルまで含め、200億円と推察されています。
この”ガンダムシリーズ”は、TV・映画・OVAで数十作品にもなり、トータル的な経済規模になると、1000億円~2000億円になることは間違いないでしょう。
特にガンダム関連商品では、”ガンプラ”と呼ばれるプラモデルが一大マーケットを形成しています。プロモデラーまで生れるほどのジャンルです。
”ガンプラ”も番組が終了しても、シリーズ化されて販売されていますが、第1作から販売されている関連グッズとして根強い人気があります。
それだけに、アニメ関連ビジネスで最も成功を収めているのが、”ガンダムシリーズ”なのです。
4.アニメの経済効果は数千億円規模
ここで紹介したアニメ作品はほんのごく一部の作品です。
それでもヒットすることで、関連商品やサービスなども含めると、数百億円から数千億円ものマーケット規模を作り出しています。
そのために他のアニメ作品まで含めると、さらに大規模な経済効果を創出されていくと言ってもいいでしょう。子供だけが楽しむ分野ではなく、ビジネスの観点で考えてみると、成熟したビッグマーケットになるのかもしれません。